＜カモシカ＞

カモシカは農耕と深い関わりがあり、農耕社会である西アフリカではカモシカは最も多く仮面のモチーフになっている動物といえます。アフリカにはカモシカの種類も多く、さまざまなカモシカの仮面が見られます。

マリ共和国　バンバラ族
頭上面“チワラ”

ブルキナファソ
ブワ族　仮面

　マリ共和国　ドゴン族　仮面　“ゴミントゴ”

ゴミントゴの仮面
ゴミントゴとはドゴンの言葉でカモシカの一種を表します。神話によると、ある農夫が畑の農作物を食べたカモシカを殺しました。死んだカモシカの霊の祟りを恐れた農夫がカモシカの頭を猟師の祭壇に安置してもらったところ、猟師の息子が病気にかかってしまいました。そこで占い師の助言によりゴミントゴの仮面を作ることになったといいます。

＜牛＞

西アフリカでは牧畜は行われず、野生の牛が多く生息していました。カメルーン高地では野牛は古くから神聖な動物と考えられ、野牛をモチーフとした仮面や椅子などが数多く作られました。

＜ゾウ＞

マンコン族のゾウの神話

マンコン社会ではゾウにまつわる神話があり、ゾウは特に神聖視されています。神話では、ある日一人の村人が森に猟に出かけ、ゾウに出会いました。そのゾウは一本のラフィア椰子の木を引き抜きました。するとそこから甘い湧き水が出るようになりました。それを飲んだ村人たちは大いにゾウに感謝し、ゾウの仮面を作ったといいます。

＜鳥＞

コートジボワール
セヌフォ族　鳥の彫像　“カラオ”

巨大な鳥“カラオ”

この巨大な鳥の彫像カラオは神聖な森に安置されます。セヌフォ族のポロと呼ばれる男子秘密結社の加入儀礼で、成人となる少年たちに秘儀を教える重要な鳥です。“ポロピアノン”という別名には“ポロの子供たちの母”という意味があります。もうひとつの別名には“最初の祖先”という意味があり、サイチョウが人類と神聖な森の創始者であることを表しています。

＜ワニ＞

ワニは陸と水の両方に住む力強い動物と考えられています。仮面や扉、ドアロック、壺、装飾品などあらゆる工芸品のモチーフになっています。

ブルキナファソ
ヌナ族　仮面

＜カメレオン＞

カメレオンはゆっくりした注意深い歩き方や環境に合わせた体色の変化、ぐるぐる回る目玉などが特徴の動物です。アフリカの創世神話では神の使いとして頻繁に登場します。

ナイジェリアのヨルバ族の神話では、カメレオンは人間が地上に到来する準備として大地の固さを調べるために至高神から地上に派遣された動物です。創世が始まったその場所は「広い」を意味するイフェと呼ばれ、現在でもヨルバ族の聖地です。

＜ヒョウ＞

ヒョウは多くのアフリカ社会で権力の象徴となっています。ナイジェリアのイボ族にはヒョウという意味の“エクペ”と呼ばれる秘密結社があり、結社の藍染めの布にはヒョウの図柄やヒョウの斑点を表す文様が見られます。

＜組み合わせ＞

二つ以上の動物や動物の要素を組み合わせて作られた仮面も多く見られます。

カメルーン
マンビラ族　仮面
犬の顔？と動物の角

コートジボワール　セヌフォ族
頭上面イボイノシシとカメレオン

マリ共和国
ドゴン族
騎馬像。

ベニン　フォン族　うちわ
表：ヘビとカメ
裏：牛とイルカ？

カメルーン
バミレケ族　椅子クモを抽象化して表現しています。