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 3 ・ ボゴランフィニ(泥染布〜マリ共和国・バンバラ族)

アフリカで最もよく知られている布の一つに、マリ共和国バンバラ族の泥染めの布「ボゴランフィニ」があげられます。黒地に白の幾何学模様が描かれたこの布を一度はご覧になった方も多いでしょう。今回はボゴランフィニについて見ていきましょう。

ボゴランフィニとは

バンバラ語で“ボゴ”は泥や粘土を、“ラン”は道具や仕事の成果を、“フィニ”は布を意味します。ボゴランフィニとは泥を用いて染色した布ということになるでしょう。日本ではボゴランと呼ぶことが多いです。伝統的なボゴランは、15センチほどの細い幅に織られたコットンの布を7枚ほどつなぎあわせて1枚の大きな布を作り、泥を使って染色します。できあがったボゴランは女性の腰巻や猟師の衣服に使われました。ボゴランは邪気から身を守るための衣服と考えられていました。ボゴランの目がくらむような幾何学模様が、人の体に邪気が入り込むのを防ぐと思われていたのです。

染色

染色はまずシクンシ科の木の葉などを染料として布全体を黄色に染めます。次に図柄(できあがったとき白くなる部分)の輪郭を木の枝を使って線で描きます。そして輪郭の線の外側に泥を塗ります。泥は川や池から採取して 1 年以上乾燥させたものを水に溶いて使います。植物の葉に含まれるタンニンと泥に含まれる硫化鉄とが化学反応をおこし、泥を塗ったところは黒く染まります。泥は洗い流し、最後に黄色く残った図柄の部分を漂白して白く仕上げます。漂白液はピーナッツ、苛性ソーダ、キビの糠と水を混ぜ合わせたものを煮て作り、図柄の部分にていねいにのせていきます。泥や漂白液を塗っていくのが時間のかかる作業です。

デザインの構成と意味

伝統的なボゴランの腰巻の構図は参考図版の作品のように5つのパターンに分かれ、それぞれに名称があります。身に着けるときの上下や巻き始め、巻き終わりなどを考えてのことでしょう

デザインには記号や文字としての役割があります。モチーフの一つ一つに意味があり、それらが組み合わされて主題となるストーリーやテーマが布上に展開されます。英雄を称えるもの、よき伴侶や家庭円満を願うもの、教訓などさまざまなものがあり、バンバラの社会を映し出す文学となっているのです。

現代のボゴラン

ヨーロッパの布が入ってきてからは、ボゴランを着る人は少なくなりました。 1970 年代にはマリの首都バマコで国際映画祭が開催され、そのとき初めてボゴランが商品として作られました。それ以後ボゴランは世界的に知られることとなり、現在では数多くの製品が作られています。

かんかんでもさまざまな大きさの布やショール、ランチョンマットなどボゴランの商品を各種取り揃えています。これらの新しい商品も伝統的な技法で作られており、布の風合やデザインを楽しみながら気軽にお使いいただけます。

参考文献
「 BOGOLAN アフリカ・マリ染色芸術展」ツルモトルーム  1992 年
「 African Textiles 」 John Picton & John Mack, British Museum Press, London 1979 年
「 African Textiles 」 John Gillow, Thames & Hudson, London 2003 年

ボゴランフィニ 参考図版  
ボゴランフィニ 参考図版  
腰巻の基本的構図  
腰巻の基本的構図  
<デザイン例>  
「片足の娘」という意味 Sungurun sen kelen 
「片足の娘」という意味。歩いたときの曲がりくねった線を表現しています。
 
「勇敢な人間の帯」 Ce farin jara 
「勇敢な人間の帯」あるいは「男性用のズボンの細紐」という意味。
 
「首の長いジョゼ」という意味 Jose kan kono 「首の長いジョゼ」という意味。クミ・ジョゼという英雄の名前を指します。  
「戦うワニのボス」 Dan tigi mari
「戦うワニのボス」
 
       
 
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